raisinpanの日記

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【追悼】 #大道芸ワールドカップ in静岡 さん(1992-2019)

毎年11月に開催されてきた大道芸ワールドカップin静岡。大小様々な問題を抱えつつも、国内外の演者が集う規模感と、いつもの街並みがイベント会場に変わる独特の雰囲気が多くの人々を惹きつけていました。

 

様々な問題を抱えつつ、と冒頭に書きましたが、過去最大級のがきました。

www.at-s.com

 

差別的発言という可燃性の高い話題であること、海外の演者を毎年20組近く呼ぶという国内の他の大道芸イベントではありえない特色、強みを自ら捨て去ろうとしていること、擁護のしようがありません。ここ数年の社会情勢考えたら海外組呼べないことくらいみんな分かるんだからもっとマシな言い方いくらでもあっただろ。

今後どうなってしまうのかと心配する声が多くありますが、結論から言ってイベントごとお取り潰しになるほかないと思います。「お前はもう死んでいる」です。

 

過去最大級の炎上案件だった「ノーギャラ問題」については、当時このブログでも書きました。

raisinpan.hatenablog.com

 

前任のプロデューサー氏は、今回問題になっている氏とは逆に、国内組軽視の姿勢を頻繁に見せ、それが国内の少なからぬ演者からの不興を買っていました。このノーギャラ問題は例年通りのギャラの支払いと前プロデューサーを含む実行委員会重役数名の辞任という形で幕引きになりました。

 

演者のギャラをイベント期間の4日間出す/出さないは合計で結構な金額の違いになるはずですが、どうやらイベント全体で、会計に不明瞭なところがあるようです。私は中の人ではないので詳細は分かりませんが、過去に大道芸ワールドカップに出場経験がある3組の演者さんの投稿をご覧ください。投稿日はいずれも今年7月、実行委員会の体制変更がアナウンスされたタイミングです。

このあたりの闇をほじくり返したら誰かお縄になるんじゃない?というのが率直な感想です。色々ゴタゴタしているところに今回の件なので、立て直しとか呑気なことを言っていられる情勢ではないと思います。残念ながら、その段階はとうに過ぎてしまったと思います。何より、多くの演者さんにとって目指すべきイベント、出場が誇らしいイベントではなくなってしまったというのが非常に大きいです。

 

 

これまで列挙してきたようなスキャンダラスな話題以外にも、問題というか、環境の変化にうまく対応できてないなと感じることがあります。

 

メイン会場である駿府城公園では、2016年から発掘調査が始まり、一般の人が立ち入りできるエリアが大幅に削減されました。にもかかわらず従前とさほど変わらない数のパフォーマンスポイントを駿府城公園に設置していたので、通路が狭く危ないなと思ったのを思い出します。また、それまでイベント期間中に駿府城公園内に設置されてきた特設ステージは翌2017年からは市民文化会館に移動になったのですが、文化会館周辺の集客はなかなか上手く行っていませんでした。

 

また、2020年4月12日に「大道芸ワールドカップin静岡2020の準備状況について」というテーマでホームページが更新されているのですが、

daidogei.com

”海外アーティストのビザ取得、出入国の管理等、諸問題が山積しており早い段階での決断をしなければならないと考えております。”とあります。2020年4月というのは

・例年なら出演者募集は締め切られている時期

東京五輪の延期は既に決定済み

・東京など一部地域には緊急事態宣言が出され、今後全国に広げることが検討されていた時期

・ロックダウン実施国多数

これらを考えたときに「どうしてまだ今年(2020年)のイベントを普通にできると思えるの?」というのが率直な感想であり、なぜこのタイミングで中止を発表しない、できないのかというのが疑問でした。

 

で、2020年の開催断念のアナウンスが6月18日。早い段階での決断とは何だったのか。

daidogei.com

リンク先の文章で気になるところといえば、中止ではなく「延期」という表現を使っているところですね。毎年11月にやってるイベントを今年は諸事情で12月ですっていうのは延期だし、数年に1度のイベントを今年やるタイミングだったけど来年にしますって言うんだったらこれも延期ですが、年1のイベントを来年に延期ってどゆこと?この辺の日本語の怪しさもなんだかなあと当時思いました。

 

話を戻しますが、現状これだけ運営がゴタゴタしていて、参加辞退を申し出ている出演者、スタッフが複数いるようなので、今年のイベントの開催も危ういかもしれません。

 

ここで取り上げたスキャンダラスな面が静岡の他の文化芸術行事等に波及しないこと、これまで大道芸ワールドカップin静岡に触れた、関わった人たちそれぞれのいい思い出がこれ以上汚されないことを願って、この長文を終わりにしたいと思います。