raisinpanの日記

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【読んだ】確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

マーケティングについて十分な理解がなくても、数学的な素養に乏しくても、

個々のエピソードを追っていくだけで、書籍代の価値は十分感じられると思います。

確率思考の戦略論  USJでも実証された数学マーケティングの力

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

 

 

個人的に印象に残った3点を挙げるとすると、テーマパークの入場料の値上げに対するアプローチと、毒入り消費者データ(事前テストと実際の販売結果のズレ)の問題と、「サイコパス」に関する諸々ですね。

 

最近、ディズニーランドの値上げが相次ぎ、批判もあるようですが、テーマパーク業界全体のことを考えた際に、採算の合うテーマパークを増やすためには価格相場はもっと高くなくてはならないと筆者は考え、USJはあえてディズニーより高い料金を設定することで、設備投資や従業員の待遇の改善につながり、消費者はより魅力的なエンターテイメントを楽しむことができるという主張。消費者目線が語られることは多いですが、企業側・運営側の目線が疎かにされがちだな、と改めて思いました。

 

アンケートに答える時の状況と、実際の店頭で決断する状況が異なることが、売れると思ってマーケットに出すと全然売れない!という毒入り消費者データを生み出してしまう。これは各分野で同様のことが起こる危険性がありますよね。これに関する対策は経験と、ヒントは本書に書いてあるのでお読みいただきたい。

 

成功するために感情が邪魔になるような職業において、サイコパス性は非常に有利に機能するというのは読んでいて思うところがありましたね。感情の呵責や罪悪感が少なく、目的に対して、正しい選択と行動を迷わずでき、なおかつ判断が早いのだと。日本人は感情と理性を切り離すのが苦手で、感情と理性という単語で使い分けるよりも「心」という1つの単語で済ませてしまう人が多いという筆者の指摘にも頷いてしまいます。

 

本書は非常に良い本でしたので、著者が書いている下記の2冊も合わせて読んでみたいですね。