読書をすると、そして、こうして感想を書いていたりすると、
新しいことを知るのは非常に良いのですが、同時に己の無知っぷり、不勉強っぷりを晒すこととなるのが辛いときがありますね。
辻井喬という小説家の存在は知っていましたが、この堤清二さんと同じ人物だったんですね。
この堤家に関する著作は他にいくつもあるようで、そういうのを読んで前提となる知識のある方には物足りなく感じられるのかもしれませんが、そうでなければ興味深く読める一冊だと思います。
とにかく登場人物がみんなそれぞれ強い個性とドラマを持った人物で、惹き込まれます。特に、父・康二郎氏、異母弟・義明氏に対する複雑な感情は、当事者にしか分からないであろう、いや、当事者にさえ分からないような独特な深みを感じました。