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raisinpanの日記

読んだ本とか、思ったこととか。

【読んだ】新版 集団的自衛権─新たな論争のために

 2001年にPHP新書より刊行された『集団的自衛権―論争のために』の増幅版で、旧版の内容はそのままに2012年までの本件に関する動向・論考を追ったものになります。

新版 集団的自衛権─新たな論争のために

新版 集団的自衛権─新たな論争のために

 

旧版部分も含めて、間違いなく良著なのですが、まあいかんせんタイミングが悪いw

旧版の原稿が締め切られた直後に小泉政権が誕生し、土井たか子議員が「小泉氏は集団的自衛権について、憲法解釈を変更して、その行使を認めることを検討すべきだとしているが、いままでの政府見解はどうか。また憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めることは許されるのかどうか」と政府の「統一見解」を求めるなど、本件について進展がありそうな気配となった。現に、本書では小泉政権を経て集団的自衛権行使容認が赤信号から黄色信号になったと評している。そして、本書が刊行されたのが2012年7月。あと2か月待てば安倍晋三自民党総裁に復帰し、その年の年末には民主党政権が終わるというタイミング。2012年12月の選挙期間中にでも読めば、その時点までのおさらい、集団的自衛権に対して各読者がどう読み、投票行動にどう影響するか、というのがあったでしょうが、それより後になって読む分にはなんとも間が悪い感じがします。

 

戦後しばらくの間は、憲法9条や国力の不足で自前で武力を持たないことを正当化することができましたが、国内外の情勢の変化や、議会・社会党左派勢力への対応を迫られるうちに国際的には通用しない詭弁を用いるようになり、読み進めるうちに筆者の不満が陰に陽に伝わってきます。できれば第2次安倍政権を経て黄色信号が青信号になった現状をまとめてほしいですが、著者も80歳を過ぎ、本書のあとがきでも”何年かののちには新・新版を書けといった注文が舞い込むかもしれないが、それだけは御免蒙りたい”と釘をさしてあるので、難しいのでしょう。とは言え2014年にまた集団的自衛権に関する著作を書いているので、そちらも読んでみたいと思います。 

いちばんよくわかる集団的自衛権

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