「祈りと経営」というタイトルは違うのではないかとは思うのですが、
紛れもなく良著です。
"「宅急便の父」が闘っていたもの”がタイトルでいいんじゃないかと思うのですが、
メインタイトルにするには長すぎるということなのでしょうか。
それはさておき、”宅急便の父”小倉昌男の家族、とりわけ妻と娘について語られ、
これまでなかなか知ることのできなかった側面を見ることができます。
ヤマト運輸の社長の家に嫁ぎ、嫁姑問題や境界性パーソナリティ障害の娘に苦しみ、
鬱病のような症状を抱えた妻。
”なぜ小倉昌男は晩年障害者支援に取り組んだのか”との問いに、以前から言われていた
妻の遺志を継いだものという説に加えて、妻や娘のように精神に問題を抱えた人々の
支援をするためだったのではないかという見方を提示しています。
経営者として非常に優秀であった氏が人知れず悩んだ家族の問題。
遠くない将来に映画化されても不思議ではない内容で、
家族のあり方を考えさせられた作品です。