raisinpanの日記

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【読んだ】大原孫三郎―善意と戦略の経営者 (中公新書)

大原美術館の人」という知識しかなかったものですから、美術館は彼の手がけた事業の中ではあまり注力されなかったものだという記述には驚きましたね。

まあでも世の中そんなもんだったりするんでしょうね。

大原孫三郎―善意と戦略の経営者 (中公新書)

大原孫三郎―善意と戦略の経営者 (中公新書)

 

 

「余がこの資産を与えられたのは、余のためにあらず、世界のためである。余に与えられしにはあらず、世界に与えられたのである。余は其世界に与えられた金を以って、紙の御心に依り動くものである。金は余のものにあらず、余は神の為、世界の為に生れ、この財産も神の為、世界の為に作られて居るのである」(本文より)

 

倉敷の大地主であり倉敷紡績の経営者だった父親のもとに生まれ、恵まれた環境で育った氏が、こういう心構えを持っていてくれるのは、社会にとってとても有り難いことですね。逆に言えば、資産を守り、増やしていくにはこういう気構えが必要なんだなとも思いました。臨時収入が入っても、気がつくとなくなっていたりしがちですが、こうした社会貢献に意識を向けるようにしたいですね。

 3つの社会科学研究所を設け、研究者が活躍できる環境を整備し、しかも運営に対して「金は出すが口は出さない」という現場からすればこの上ない環境を整備した大原氏。(自由過ぎて共産主義に傾倒してしまった機関もあるようですが...)こういう器の大きい人物に私もなりたいです。

 女性の労働環境の改善にも取り組むなど、とにかく「大正義」な人だなという印象を持ちました。朝ドラとか大河ドラマの題材になりそうな、そんな人物です。