raisinpanの日記

読んだ本とか、思ったこととか。

【読んだ】米中もし戦わば

 この間読んだ、「暗闘」に、この本からの引用がかなりあったのが気になり、さらにレビューも非常に高評価だったので、早いとこ読んでおきたいと思ったのですが、レビューの星の数は極めて妥当だと思います。素晴らしい1冊です。

米中もし戦わば

米中もし戦わば

 

 

遠くない将来、アメリカと中国との間に戦争が勃発する可能性はあるのか、あるとすれば何が原因になるのか、日本を含む周辺国はどういう状況におかれるのか、戦争にならないために各国が取り組んでいること・取り組むべきこととは何か... 様々な論点が丁寧に論じられています。約400ページにも渡る著作で、内容も内容ですから決して易しいはずはないのですが、非常に読みやすいです。各章が5ページくらいとコンパクトにまとめられ、その最初にその章の話題に関連する数択の問題が出されます。この問題文と選択肢、その正誤がその章の要約のようになっており、本文でその詳細を説明していくというスタイルが、読む側にとって非常に消化しやすくなっています。プレゼンや出版の予定がある方は、このフォーマットから学べることは多いと思います。

 

この本は是非手元に置いて、国際情勢の変化に応じて読み返し、背景や現状の理解、今後の展望を考えるのに役立てたいと思います。

 

 

 

まあ、でもいずれにしても日本はアメリカ側に付かざるを得ないだろうなあと思いますね。中国側についた場合には常に太平洋上が不穏になるでしょうし、中国側から見て地理的に先鋒、鉄砲玉的ポジションにならざるを得ないでしょう。本書でも指摘されますが尖閣や沖縄は持っていかれるリスクが極めて高くなります。中国は模倣やハッキングは長けていて、効率的に国力を向上させてきたけれども、模倣する大元はアメリカにあることが多く、結局は後手を踏むことになると思います。また、英語は国際標準語としての地位を確立しており、中国語がそれに取って代わる可能性は残念ながらないでしょう。文字が多すぎて多くの外国人に学ばせるには難しすぎるし、コンピュータープログラミングに漢字なんか使えないでしょう... 結局は国際的なコミュニケーションにおいて英語圏諸国が一番有利であるというアドバンテージは極めて大きいと思います。

【読んだ】宿命の子

 重厚過ぎる名著。700ページ近くあるので、時間を作ってなるべく短期間で読み切ってもらいたいなと思います。私はそこで失敗しました。もう一度通読したいと思います。

宿命の子

宿命の子

 

 

戦後A級戦犯として収監され、釈放後日本船舶振興会(のちの日本財団)を立ち上げた笹川良一と、その三男でハンセン病制圧などの慈善事業に尽力する笹川陽平日本財団会長の物語。良一の様々な豪快なエピソードとそれに翻弄される陽平の生い立ち、競艇の創設とその発展、ハンセン病問題、金日成、カーターなど海外の要人との交渉など、盛り沢山過ぎる内容。これだけの分量でありながら決して冗長にならないところに、文章力とエピソードの充実が現れています。

 

あと望むことは、一刻も早く電子書籍化してほしい。分厚い本なので持ち運ぶのも面倒だし、スマホタブレットと比べて持ちにくい。上下巻セットで文庫化する前に、是非電子書籍化をお願いします。小学館さん。

【読んだ】不動産投資の嘘

 レビューはちょっと過大評価かな、という気もするのですが、不動産投資に対してプラスにもマイナスにも煽らず、全体を通して冷静に書かれています。

不動産投資の嘘

不動産投資の嘘

 

 

本書で述べられていることをいくつか紹介すると

・出口戦略(売却)ちゃんと考えてから買おうね。

・最初から法人作って管理会社とか税理士とか入れてちゃんとやろうね。

・まとまった資金があるならファンドに積立とかも選択肢だよね。

 ぶっちゃけ稼ぎたいわけでその手段が不動産じゃなくたっていいよね。

 

あえてくだけた文体で書きましたが、本書はその辺ちゃんと書いてあるので不動産投資に取り組む方は、この本の内容くらいは頭に入れておくべきだと思います。

【読んだ】暗闘

 トランプ大統領との会談にも踏み込んでおり、かなり鮮度の高いトピックを扱っているので、一刻も早く読んでいただきたい1冊。

暗闘

暗闘

 

 

ドナルド・トランプという人物への評価は向こう4年で乱高下することになると思うので、良くも悪くも彼の評価が定まったあとに読むとまた違った味わいになることと思います。だからこそ2017年2月時点で読んでどう思うのか、というのを1度読んで確認しておいたほうがいいと思います。

それだけでなく、近隣諸国との外交問題も現時点でどういう状況にあるのか、安倍首相を始めとする各国のリーダーがどう考えているのか、これも刻々と変化していくことは想像に難くないですから、これも現時点の状況を本書を読んで整理して、時を経て読み返すとまた違った味わいを感じられるはずです。

【読んだ】総理

 2007年9月、志半ばで総理大臣を辞職した安倍晋三の”再チャレンジ”を描いた1冊。

当時、麻生太郎を始めとする少なくない政界関係者が「安倍の出番はもう1回来る」という見解を持っていて、実際に彼を担ごうとした人物の動きも描かれています。

総理

総理

 

 

2012年の自民党総裁選に出馬するまでの安倍の心境の変化、支持者から総理総裁への復帰を期待される声を掛けられても言葉を濁していた一面から、北朝鮮拉致問題やシリア空爆問題に対する毅然とした態度まで、様々な側面が克明に描かれています。安倍個人の資質だけでなく、彼を支える人物達の尽力も含めて、「野党がショボすぎるから」にとどまらない現政権の安定感を窺い知ることができます。

【読んだ】機会発見――生活者起点で市場をつくる

 マーケティングに関する業務に携わる方は、是非目を通しておきたい1冊です。

機会発見――生活者起点で市場をつくる

機会発見――生活者起点で市場をつくる

 

 

既存の枠組みの外側にある新しいものを、と考えてもなかなか浮かびませんし、あんまり突飛すぎても受け入れられないですしね。本書では、消費者目線、生活者目線の掴み方、アプローチを解説し、既存の枠組みの隣にある”機会”を発見する手がかりをくれます。この本も例に漏れず読んだらすぐに理解して活用できる、というタイプのものではなく、マーケティング業務の傍らに置いて必要に応じて随時読み返す参考書のような使い方をするのが適切だと思います。

【読んだ】エースと呼ばれる人は何をしているのか

 一言で言うと、「みんな、努力しようね。」という本です。

エースと呼ばれる人は何をしているのか

エースと呼ばれる人は何をしているのか

 

 

本書における「エース」という言葉の定義がちょっと世間とズレてるかなという気はします。そこを認識していなさそうなレビューも見受けられます。本書では”「エース」とは自分自身の実力や魅力を、発揮する場所で十分に発揮し、輝いている人のこと”と定義しています。主役であってもその力を十分に出せていなければエースではなく、逆に「名脇役」と呼ばれるような人はエースである、ということになります。誰でも主役・センターになれるわけではないが、輝ける場所はある、という話です。輝くためには、自分を高めること。努力論に、モーニング娘。やAKBなど著者自身の経験に基づくエピソードが織り込まれ、他の人には書けない文章に仕上がっています。裏話的な話題も豊富なので、努力努力と息苦しくならずに読み通せます。